ニキビの薬でカサつく肌、保湿はやめるべき?
アダパレンなどのニキビ治療薬は肌のバリアを乱し、乾燥や赤みを招くことがあります。保湿を減らすべきか、日本皮膚科学会のガイドラインと臨床試験から整理します。

ニキビの薬を塗り始めてから、肌がカサついたり赤くなったりしていませんか。皮脂が気になる肌に保湿は逆効果な気がして、量を減らしたり、やめたりした人もいると思います。日本皮膚科学会のガイドラインと臨床試験を照らし合わせると、答えは少し違います。
先に結論
- ニキビの治療を始めても、保湿はやめなくていい1
- 「ノンコメドジェニック(面皰を誘発しにくい)」と書かれた保湿剤を選ぶ134
- 保湿剤そのものにニキビを治す効果はない。役割は、治療薬の刺激をやわらげて治療を続けやすくすることにある1
なぜニキビ肌は乾きやすいのか
ニキビができている肌は、見た目以上に水分を保つ力が乱れています。316人を対象に、ニキビのある人とない人を比べた2024年の横断研究では、ニキビのある人のほうが経表皮水分蒸散量(TEWL、肌から逃げていく水分の量)が有意に高く、さらに治療を受けている人はもっと高いという結果でした5。
ここに、アダパレンなどの外用薬が重なります。アダパレンは毛穴の詰まりを防ぐために角層のターンオーバーを早める薬で、効果が高いぶん、刺激感や皮むけ、赤みが出やすいことが知られています1。もともとバリアが乱れがちな肌に、バリアを動かす薬を足す形になるため、乾燥や刺激が重なって出やすいのです6。

保湿を足すとどうなるのか
ここからが本題です。保湿を「足す」ことは、治療の妨げになるのでしょうか。
日本皮膚科学会のガイドラインは、アダパレン0.1%ゲルを強く推奨したうえで、開始時からノンコメドジェニックな保湿剤を併用すると、臨床効果を保ったまま刺激感・皮むけ・赤みが軽くなり、副作用で治療を続けられなくなる人が減る、という日本国内のエビデンスを紹介しています1。
海外の臨床試験でも同じ傾向が確認されています。40人を対象に、セラミドとナイアシンアミドを含む保湿剤を外用薬と併用した2024年の8週間の試験では、保湿剤なしより皮疹の数がより改善し、重い副作用は見られませんでした2。120人を3群に分けた2016年の別の8週間の試験でも、保湿剤を足した群のほうがTEWLと肌の刺激が少なく、それでいて炎症性皮疹はきちんと減っていました3。ニキビが落ち着いたあとの維持期に入った50人に保湿剤を足した2020年の12週間の試験でも、新しいニキビの発生が抑えられ、乾燥やヒリつきのスコアはプラセボと変わりませんでした4。
つまり、保湿剤を足しても治療の効き目は落ちず、むしろ肌の負担だけが軽くなる、という結果が繰り返し出ています。なお、治療薬と保湿剤をどちらを先に塗るべきかを比べたエビデンスはまだありません1。塗る順番はそれほど気にしなくてよさそうです。

よくある勘違い
「ベタつくのが嫌だから保湿は減らす」
皮脂が多いことと、肌が乾いていることは、同じ肌の中で同時に起こります。ニキビのある肌はTEWLも高く、水分が奪われやすい状態にあります5。保湿を削ると、乾燥からくる刺激が上乗せされるだけで、皮脂そのものが減るわけではありません。
「保湿すればニキビが治る」
これも違います。ガイドラインは、保湿剤単体でニキビを改善するという直接のエビデンスはないとしたうえで、あくまで治療薬による刺激を軽くする役割として保湿剤の併用を選択肢の一つに挙げています1。ニキビそのものへの対応は、外用薬などの治療が主役です。
まとめ
出典
記号は根拠の強さです。S = 系統的レビュー・公的機関の一次資料、A = ランダム化比較試験、B = 査読付きの総説・観察研究。
- 2AEfficacy of ceramides and niacinamide-containing moisturizer versus hydrophilic cream in combination with topical anti-acne treatment in mild to moderate acne vulgarisJ Cosmet Dermatol(RCT/split face・二重盲検/n=40)・2024
- 3AA double-blinded, randomized, vehicle-controlled study to access skin tolerability and efficacy of an anti-inflammatory moisturizer in treatment of acne with 0.1% adapalene gelJ Dermatolog Treat(RCT/二重盲検・プラセボ対照/n=120)・2016
- 4AA Double-Blinded, Randomized, Vehicle-Controlled Study of the Efficacy of Moisturizer... for Prevention of Acne Relapse in Asian PopulationBiomed Res Int(RCT/二重盲検・左右比較/維持期n=50)・2020
- 5BSkin Barrier Parameters in Acne Vulgaris versus Normal Controls: A Cross-Sectional Analytic StudyClin Cosmet Investig Dermatol(横断研究/n=316)・2024
- 6BInsights into acne and the skin barrier: Optimizing treatment regimens with ceramide-containing skincareJ Cosmet Dermatol(専門家アドバイザリーパネルによるレビュー)・2023
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