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残暑に肌が乾くのは、空気のせいではない

6分で読めます

8月と9月の平均相対湿度は74%と75%。外の空気はまだ乾いていません。それでも肌がつっぱるとき、何が起きているのかを気象庁のデータから整理します。

夕方の光が差す洗面台に、タオルとスキンケアのボトルが並んでいる

まだ暑いのに、頬がつっぱる。ベタつくのに、粉をふく。そんな時期です。

「秋の乾燥が始まったのかな」と思って、保湿を厚くした人もいるかもしれません。でも気象庁のデータを見ると、9月の空気はまだ乾いていません。この記事では、残暑に肌が乾いて感じる理由を、数字で確かめていきます。

先に結論

  • 9月に入っても日焼け止めは続ける。紫外線量は5月より多い時期です
  • 洗顔は「回数」より「何で洗うか」を見直す
  • 「秋の乾燥対策」への切り替えは急がない。外の空気が乾き始めるのは11月です

外の空気は、まだ乾いていない

東京の平年値(1991〜2020年の30年平均)を見てみます1

平均相対湿度は8月が74%、9月が75%。9月のほうが、わずかに高いのです。10月でも71%あります。下がり始めるのは11月の64%からで、12月は56%、1月は51%まで落ちます。

東京の月別平均気温と平均相対湿度。8月をピークに気温は下がり続けるが、湿度が下がり始めるのは11月から
図1: 気温は9月から落ちるが、湿度は11月まで下がらない。出典1

つまり、いま感じている乾きは「秋の乾燥」ではありません。空気の湿り気は、まだ夏のままです。

気温だけが先に下がります。8月26.9℃、9月23.3℃、10月18.0℃1。この「涼しくなったのに湿度は高い」というズレが、体感を混乱させます。

夏のあいだに積み上がったのは、紫外線

一方で、この時期に多いままなのが紫外線です。

気象庁がつくばで観測している日最大UVインデックスの月平均値を見ると、2025年は8月が7.7、9月が6.0でした2。9月は、5月の5.0を上回っています。2024年も8月7.8、9月5.9で、5月の5.6より高い値でした2

つくばの日最大UVインデックス月平均値。9月の値は5月より高い水準にある
図2: 9月の紫外線は、5月より強い水準にある(つくば・2025年)。出典2

UVインデックスは、紫外線の強さを人体への影響の度合いで示した指標です。3〜5が「中程度」、6〜7が「強い」とされています3

3以上のときは、日中はできるだけ日陰を利用し、長袖シャツ・日焼け止め・帽子を使うことが勧められています3。9月の6.0は、この「強い」に入る水準です。

10月に入ると3.4まで下がります。ただしこれも「中程度」の範囲で、対策が勧められる水準です23

今夜からの3ステップ

1. 洗浄剤を見直す

汗をかくので、夏は洗う回数が増えます。ただ、見直す価値があるのは回数より洗浄剤の側です。

アルカリ性の石けんは、合成洗浄剤(syndet と呼ばれる種類)に比べて、肌のタンパク質を変性させやすいという整理がされています56。刺激やつっぱりを感じるなら、まず洗浄剤の種類を確認してみてください。

熱いお湯を顔に当てる時間も、この時期は短くできます。

2. テカリを「足りている」と読み替えない

皮脂が出ていると、うるおっているように感じます。でも皮脂の量と、角層(肌のいちばん外側の層)の水分量は、別々の機器で測る別々の指標です。

韓国の成人434人を測定した研究でも、皮脂量と水分量は独立したカテゴリとして基準値が作られています4。テカリと水分量は、同じものを見ているわけではありません。

皮脂量と角層水分量の2軸。テカっていて水分が少ない領域、テカらず水分も多い領域など4つに分かれる
図3: 皮脂量と水分量は別の軸。テカリだけでは水分量は分からない。出典4

とはいえ「乾燥肌かどうか」を分子レベルで判定する方法は、まだ定まっていません。乾いた肌の角層ではセラミドや天然保湿因子(肌がもともと持つ、水を抱える成分)の量に違いが報告されていますが、21件の研究を統合した系統的レビューでは「どの指標が乾燥をよく表すかは現時点で不明」と結論づけられています7

どの成分を見れば乾燥と言えるのか、決め手はまだない、ということです。だからこそ、つっぱる感じがあるかどうかという体感を、そのまま手がかりにしてかまいません。

3. 「秋仕様」への切り替えを急がない

湿度が下がり始めるのは11月です1。テクスチャーの重いものへ一気に切り替えると、ベタつきだけが増えることになりがちです。

いま乾きを感じている部分だけ、重ねる量を増やす。全体を入れ替えるのは、10月の終わりごろからで足ります。

よくある勘違い

「9月になれば日焼け止めは減らしていい」

つくばの観測では、9月の日最大UVインデックス月平均は6.0(2025年)で、5月の5.0より高い値でした2。10月でも3.4あり、対策が勧められる3以上の範囲に入っています23

「エアコンで乾いている」

夏の冷房が原因だと感じやすい部分ですが、外気の湿度は9月でも75%あります1。冬の暖房期のような乾燥とは、条件が違います。

「保湿クリームを厚く塗れば解決する」

セラミドは角層の細胞間脂質の主要成分で、バリアを作る役割を持ちます8。ただ、量を増やせばそのぶん効くという単純な話ではありません。まず紫外線と洗浄を見直すほうが、この時期は順番として先です。

まとめ

  • 9月の平均相対湿度は75%。外の空気は、まだ乾いていません1
  • 一方で紫外線量は5月より多い水準です。日焼け止めは続けてください23
  • テカっていても、角層の水分量が足りているとは限りません4
  • 洗浄剤の種類を見直すと、つっぱり感が変わることがあります56
  • 秋のスキンケアへの切り替えは、10月の終わりごろからで間に合います1

暑さが残っているうちは、夏のケアを続けていい時期です。慌てて衣替えをしなくて大丈夫です。

出典

記号は根拠の強さです。S = 系統的レビュー・公的機関の一次資料、A = ランダム化比較試験、B = 査読付きの総説・観察研究

  1. 4BAn objective skin-type classification based on non-invasive biophysical parametersJ Eur Acad Dermatol Venereol(PMID 34747517)・2022
  2. 5BThe science behind skin care: CleansersJ Cosmet Dermatol(PMID 29231284)・2018
  3. 8BCeramides in Skin Health and Disease: An UpdateAm J Clin Dermatol(PMID 34283373)・2021
  • 残暑
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  • 紫外線
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