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レチノール、いきなり毎晩使っていませんか?肌を荒らさない取り入れ方

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レチノール配合コスメは、頻度と保湿の組み合わせ次第で肌への負担が変わります。荒れずに続けるための取り入れ方を、臨床試験の報告をもとに整理します。

夜の洗面台に置かれた、ドロッパー付きの美容液ボトルと小さな保湿クリームの容器

新しく買ったレチノール配合の美容液を、初日から毎晩使ってみたら、数日でほおがヒリヒリして皮がむけた。そんな経験をした人は少なくありません。効きそうだからと頻度を一気に上げるほど、肌は荒れやすくなります。どのくらいの頻度で、何と組み合わせて使えば刺激を抑えられるのか、臨床試験の報告をもとに整理します。

先に結論

  • 使い始めは週2〜3回など少ない頻度からで、肌の反応を見ながら増やす2
  • レチノールの前後に保湿剤を挟むと、乾燥・粗さ・皮むけが目立ちにくくなる3
  • ビタミンC配合の朝ケアとレチノールの夜ケアは、時間帯を分けておくと扱いやすい

なぜ肌が荒れやすいのか

レチノールは、肌のいちばん外側にある角層が入れ替わるサイクル(ターンオーバー)を早める方向にはたらく成分です。処方薬のトレチノイン(レチノールが体内で変化した先の成分)については、8件のランダム化比較試験・合計1,361人分をまとめた解析で、光老化によるしわなどの見た目が対照より改善したと報告されています1

ただし、この改善のしくみそのものが、使い始めの刺激にもつながります。角層が入れ替わるサイクルが早まる過程で、乾燥・赤み・皮むけといった反応(レチノイド皮膚炎と呼ばれます)が数週間続きやすいことが、複数の研究をまとめたレビューで繰り返し指摘されています2

なお処方薬のトレチノインと、市販の化粧品に配合されるレチノールは、日本の制度上は別物です。ドラッグストアで買えるレチノール配合コスメの多くは、この改善効果を確認する試験を経ていない成分です。

肌が敏感に傾いているとき、乾燥がひどいとき、他の角質ケア成分(ピーリング系の酸など)を同じ夜に使っているときは、刺激が重なりやすいタイミングです。こうした条件が重なる日は、レチノールを使う夜をずらすだけでも負担を減らせます。

どうすれば刺激を抑えられるか

刺激を抑える工夫として、レビューでは主に次の3つが挙げられています2

  • 最初の数週間は週2〜3回など少ない頻度にとどめ、赤みや皮むけが出なければ少しずつ増やす
  • 洗顔後、肌の水分をしっかり乾かしてから塗る。濡れたままだと角層への浸透が高まり、刺激も強く出やすいと言われている
  • 保湿剤を先に薄く塗ってからレチノールを重ねる、または後に重ねる。保湿剤を挟むこと自体が刺激をやわらげる工夫として紹介されている

この最後の工夫については、人を対象にした比較試験でも裏づけがあります。経口イソトレチノインまたは外用トレチノインを使っている30人の顔半分にだけ保湿剤を15日間併用してもらったところ、保湿剤を使った側で乾燥・粗さ・皮むけが目に見えて改善したという報告があります3。頻度を落とすことと、保湿を惜しまないこと。まずはこの2つを合わせるのが現実的です。

頻度を落とすことと保湿を前後に挟むことが、刺激を抑える2つの工夫
図1: 刺激を抑える2つの工夫。出典23

頻度そのものは、一気に上げないことが要になります。

使い始めの2〜4週間は週2〜3回にとどめ、慣れたら週3〜4回へ、荒れたら1段階戻すという3段階の進め方
図2: 頻度を3段階で上げていく目安。出典2

「ビタミンCと一緒に使うと意味がない」は本当か

レチノールとビタミンCを同じ夜に使うのは良くない、という話をよく見かけます。純粋なアスコルビン酸(ビタミンCの一種)は低いpHでないと壊れやすい、という化粧品化学の話が背景にあります。

ただし、実際に併用したときに互いの効果が打ち消し合うと示した、質の高い比較試験は見当たりませんでした。時間帯を分ける実務的な理由は、効果を守るためというより、乾燥・赤みなど肌への負担が重なるのを避けるためと考えるほうが実情に近いといえます。朝はビタミンC、夜はレチノールと役割を分けておけば、成分同士の相性を毎回気にせずに済みます。

「レチノール配合」なら効果が保証されるわけではない

日本では2017年、厚生労働省が特定の医薬部外品有効成分「純粋レチノール」について、乾燥による小じわを目立たなくする効能効果を承認しました4。ただしこれは、その特定の有効成分を規定の濃度・製法で配合した製品に限られる承認です。

「レチノール配合」という表示がある化粧品すべてが、同じ水準の効能評価を受けているわけではありません。パッケージの成分名だけで効果の強さを判断せず、まずは頻度と保湿で肌への負担を減らすことから始めるほうが、遠回りに見えて確実です。

手持ちのコスメを何本も並行して使っている場合は、レチノール配合のアイテムがどれか、他に角質ケア系の成分を含むアイテムがないかを、一度棚卸ししておくと予定が立てやすくなります。同じ夜に重ねているものが多いほど、刺激の原因を後から切り分けにくくなるためです。

まとめ

  • レチノールは低頻度から始め、肌が慣れたら少しずつ増やす2
  • 保湿剤と組み合わせると乾燥・粗さ・皮むけが和らぐという比較試験がある3
  • ビタミンCとの併用そのものを恐れる強い根拠はないが、時間帯を分けると負担を減らしやすい
  • 「レチノール配合」という表示だけでしわ改善の効能が保証されているわけではない4

今夜からできるのは、使う頻度を1段階落として、前後に保湿剤を足すことです。

出典

記号は根拠の強さです。S = 系統的レビュー・公的機関の一次資料、A = ランダム化比較試験、B = 査読付きの総説・観察研究

  1. 1STretinoin for Photodamaged Facial Skin: Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled TrialsDermatology Practical & Conceptual(系統的レビュー・メタ解析/8試験・n=1,361)・2024
  2. 2BA Comprehensive Review of the Strategies to Reduce Retinoid-Induced Skin Irritation in Topical FormulationNarsa AC, et al. Dermatology Research and Practice(文献レビュー)・2024
  3. 3ABeneficial effect of a moisturizing cream as adjunctive treatment to oral isotretinoin or topical tretinoin in the management of acneLaquièze S, Czernielewski J, Rueda MJ. J Drugs Dermatol 5(10):985-90(ランダム化比較試験・split-face/n=30)・2006
  • レチノール
  • 保湿
  • 刺激
  • ビタミンC

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