Curaダウンロード
ARTICLES

ナイアシンアミド、名前と濃度だけで選んでいませんか?悩みから逆算する選び方

6分で読めます

化粧水にも美容液にも入っているナイアシンアミド。何にどのくらい効くのかを、人での比較試験と日本の承認制度をもとに仕分けし、肌悩みから逆算して選ぶ考え方を整理します。

朝の光が差す洗面台に並んだ、乳白色の美容液ボトルとポンプ式の保湿ボトル、淡い水色のリネン

化粧水にも美容液にもクリームにも、「ナイアシンアミド配合」と書いてあります。SNSでは万能成分として紹介され、なんとなく選んだ人も多いはずです。でも実際に人で確かめられている効果は、悩みごとに濃淡があります。比較試験がある悩みと、まだ証拠が弱い悩みを仕分けして、選び方を逆算できるようにします。

先に結論

  • 人での比較試験があるのは「乾燥」「しみ・色ムラ」「小じわ」「テカリ」の4つ1234
  • 効果を示した試験の多くは2〜5%配合。10%を超える高濃度がより効くことを示した試験は見当たらない12
  • ニキビへの効果は、はっきりした証拠がまだない5。刺激が出にくい成分なので、レチノールなど攻めのケアとは組み合わせやすい910

そもそもどんな成分か

ナイアシンアミドは、ビタミンB3のグループに入る水溶性の成分です11。名前は攻めのケアっぽい響きですが、性質はむしろ穏やかで、朝晩どちらでも使いやすいタイプです。

日本の制度上の立ち位置は、実ははっきりしています。医薬部外品(薬用化粧品)の有効成分として、2007年に「メラニンの生成を抑え、日やけによるしみ・そばかすを防ぐ」効能(いわゆる美白有効成分)で承認され6、2017年には「シワを改善する」効能でも承認されました7。シワ改善の承認を持つ成分は2019年4月時点で3つだけで、ナイアシンアミドはその1つです7

ただし、承認の対象は規定の濃度・製法で作られた医薬部外品に限られます。「ナイアシンアミド配合」と書かれた化粧品のすべてが、同じ水準の評価を受けているわけではありません。

「万能」の中身を仕分けする

人を対象にした比較試験がある悩みは、大きく4つです。

ナイアシンアミドの肌悩み別の根拠マップ。乾燥・しみ・小じわ・テカリには比較試験があり、ニキビは証拠不足
図1: 肌悩み別に見た根拠の強さ。出典15

乾燥・肌のバリア。 ナイアシンアミドとグリセリンを配合した保湿剤を35日間使う試験2件(63人と58人)で、肌の乾燥と、肌から逃げる水分の量(経表皮水分蒸散量)が、無処置や他の保湿剤より改善しました3。培養細胞の実験では、角層のうるおいを保つ脂質「セラミド」を作る働きを高めたという報告もありますが、これは試験管レベルの話で、人の肌で同じことが起きるかはまだ分かっていません8

しみ・色ムラ。 日本人女性を対象にした試験で、5%配合を使った18人と、2%配合+日焼け止めを使った120人のどちらでも、4週間で色素沈着が対照より減りました1。メラニンが周りの細胞へ受け渡される段階を邪魔する、という仕組みが提案されています1

小じわ・ハリ。 50人の女性が5%配合を顔の半分に12週間使った試験では、小じわ、しみ、赤み、黄ぐすみが対照の側より減り、機器で測った弾力も改善しました2

テカリ。 日本人100人の比較試験で、2%配合を4週間使った群は皮脂の分泌率が下がりました。ただし白人30人の試験では皮脂の分泌率に差がなく、効果の出方は人によって違いそうです4

正直に添えると、これらの試験の多くは化粧品メーカーが実施したものです。査読を通った比較試験ではあるものの、独立した研究がまだ少ない成分だということは覚えておいて損はありません。

「濃度が高いほど効く」は証明されていない

最近は10%や20%をうたう高濃度の製品も増えました。数字が大きいほど効きそうに見えますが、上で挙げた試験が使った濃度は2〜5%です。しみやエイジングケアの臨床試験を集めた2021年の総説でも、使われた濃度は4〜5%が中心で、10%以上を使った試験は載っていません12。濃度同士を同じ試験の中で直接比べた報告も、見当たりませんでした。

試験で効果が確認された濃度帯は2〜5%で、市販の高濃度製品の10〜20%はその外側にある
図2: 試験で使われた濃度と市販品の濃度帯。出典14912

安全性の面では、化粧品成分の安全性評価で、10%までひりつき感なし、5%までは3週間の連用試験でも刺激なしと報告されています9。高濃度がすぐ危険というわけではありません。それでも、濃度の数字は効果の保証ではない、というのが現時点の実情です。迷ったら、まず一般的な配合のものからで十分です。

ニキビへの効果は「まだ分からない」

ニキビ対策としてナイアシンアミドを勧める記事もよく見かけます。しかし2020年のコクラン(医療の証拠を評価する国際組織)の系統的レビューでは、ニコチンアミド(ナイアシンアミドの別名)のニキビへの試験は4件だけで、いずれも塗り薬の抗生物質との比較でした。肌全体の改善度を測った試験がなく、証拠の質は低いと評価されています5

「ニキビに効くから」を理由に選ぶのは、今の証拠では早いといえます。ニキビそのものが気になるときは、市販品で粘るより皮膚科に相談するほうが近道です。

組み合わせやすさは、この成分の強みになる

ナイアシンアミドは刺激が出にくく、感作性(かぶれやすさ)も報告されていない成分です9。だから他のケアの土台に敷きやすい、という強みがあります。

実際、ナイアシンアミドを含む保湿剤を2週間先に使ってから処方薬のトレチノインを始めたところ、使い始めの刺激がやわらぎ、経過も良かったという比較試験があります10。ビタミン混合の配合なのでナイアシンアミド単独の効果とは言い切れませんが、攻めのケアと組み合わせる方向性は理にかなっています。

なお「ビタミンCと一緒に使うと打ち消し合う」という説を見かけますが、常温の化粧品で問題が起きることを示した質の高い試験は見つけられませんでした。併用そのものを恐れる根拠は薄いといえます。

まとめ

  • 比較試験があるのは乾燥・しみ・小じわ・テカリ。ニキビは証拠不足15
  • 日本では医薬部外品の有効成分として、しみ予防(2007年)とシワ改善(2017年)の2つの効能で承認されている67
  • 効果を示した試験の多くは2〜5%配合。濃度の数字は効果の保証ではない
  • 刺激が出にくく、レチノールなど攻めのケアの土台と相性がいい910

今夜できるのは、手持ちの「ナイアシンアミド配合」がどの悩みのために置いてあるのかを、1本ずつ言葉にしてみることです。役割が言えないアイテムこそ、次に買い替えるときの見直し候補です。

出典

記号は根拠の強さです。S = 系統的レビュー・公的機関の一次資料、A = ランダム化比較試験、B = 査読付きの総説・観察研究

  1. 1AThe effect of niacinamide on reducing cutaneous pigmentation and suppression of melanosome transferHakozaki T, et al. Br J Dermatol 147(1):20-31(ランダム化比較試験/日本人女性 n=18+120)・2002
  2. 2ANiacinamide: A B vitamin that improves aging facial skin appearanceBissett DL, et al. Dermatol Surg 31(7 Pt 2):860-5(ランダム化比較試験・半顔比較/n=50)・2005
  3. 4AThe effect of 2% niacinamide on facial sebum productionDraelos ZD, et al. J Cosmet Laser Ther 8(2):96-101(ランダム化比較試験/日本人 n=100、白人 n=30)・2006
  4. 5STopical azelaic acid, salicylic acid, nicotinamide, sulphur, zinc and fruit acid (alpha-hydroxy acid) for acneLiu H, et al. Cochrane Database Syst Rev 5:CD011368(系統的レビュー/49試験・3,880人)・2020
  5. 6BQuasi-Drugs Developed in Japan for the Prevention or Treatment of Hyperpigmentary DisordersAndo H, et al. Int J Mol Sci 11(6):2566-75(総説。2007年の美白有効成分承認の記述として引用)・2010
  6. 7Bシワ形成メカニズムと抗シワ製品楊一幸. 日本香粧品学会誌 43(2):113-118(解説記事。2017年のシワ改善有効成分承認の記述として引用)・2019
  7. 8CNicotinamide increases biosynthesis of ceramides as well as other stratum corneum lipids to improve the epidermal permeability barrierTanno O, et al. Br J Dermatol 143(3):524-31(培養細胞実験+小規模なヒト試験)・2000
  8. 9BFinal report of the safety assessment of niacinamide and niacinCosmetic Ingredient Review Expert Panel. Int J Toxicol 24(Suppl 5):1-31(安全性評価報告書)・2005
  9. 10BFacilitating facial retinization through barrier improvementDraelos ZD, et al. Cutis 78(4):275-81(ペア設計・二重盲検比較試験)・2006
  10. 11BNiacinamide - mechanisms of action and its topical use in dermatologyWohlrab J, Kreft D. Skin Pharmacol Physiol 27(6):311-5(総説)・2014
  11. 12BMechanistic Basis and Clinical Evidence for the Applications of Nicotinamide (Niacinamide) to Control Skin Aging and PigmentationBoo YC. Antioxidants 10(8):1315(総説。臨床試験の濃度帯の整理として引用)・2021
  • ナイアシンアミド
  • 保湿
  • 皮脂
  • しみ

手持ちのコスメで、今夜のケアを組み直す

Cura は、あなたが持っているコスメだけで今夜と明朝のルーティンを組み立てる アプリです。成分の重複や相性は AI が判定します。

App Storeからダウンロード
Google Play — 近日公開近日公開

あわせて読みたい