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ビタミンCの美容液、朝に塗ると日焼けする?

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「ビタミンCは朝に使うと日焼けする」という話の出どころと、31件の試験をまとめた解析が示している逆向きの結果。朝に使うなら本当に気をつけるべきことを整理します。

朝の光が差す洗面台に、遮光された小さな美容液のボトルと無地の白いチューブ、たたんだ白いタオルが並んでいる

「ビタミンCの美容液は朝に使うと日焼けする」。そう聞いて、夜だけに回している人は多いかもしれません。でも試験で報告されているのは、どちらかというと逆の方向です。この言い伝えがどこから来たのかと、朝に使うなら本当に気をつけるべきことを整理します。

先に結論

  • ピュアビタミンC (アスコルビン酸) を塗ると日焼けしやすくなる、という報告は見あたりません
  • 朝に使うなら、いちばん最後に日焼け止めを重ねる。ビタミンCは日焼け止めの代わりにはなりません
  • 気にするべきは日光より、濃度による刺激と、開けたあとの保管です

「朝は避けて」は、どこから来たのか

光毒性という反応があります。ある物質が肌についた状態で紫外線を浴びると、活性酸素が発生して細胞が傷つく反応です1。アレルギーとは違って感作が要らないので、条件がそろえば誰の肌でも起こります。作用する光は主にUVA(波長の長い紫外線)です1

大事なのは「条件がそろえば」のところです。この反応には、光に反応する物質そのものが要ります。原因としてよく名前が挙がるのはフラノクマリンという成分で、ライムやセロリ、イチジクなどに含まれます2

化粧品の側でも規制されているのはこの成分です。ヨーロッパの安全性評価委員会は2005年、化粧品に含まれるフロクマリン類は1ppm(100万分の1)を超えると懸念があると結論しました3。天然の精油由来であっても対象になります3

光毒性が起きるにはフラノクマリンなどの光に反応する物質とUVAの両方が必要で、ビタミンCはその経路に入らない
図1: 光毒性は「光に反応する物質」と「UVA」がそろって初めて起こる。出典123

つまり「レモンの汁がついた肌で日に当たると赤くなる」という話が、どこかで「ビタミンCは日光に弱い」に読み替えられたようです。果物に含まれるフラノクマリンと、美容液に入っているアスコルビン酸は、別の成分です。柑橘を食べたあとに手を洗わないまま日に当たる、といった場面の話であって、美容液を顔に塗る話とは条件がつながっていません。

試験で見えているのは、逆の方向

2019年に報告されたベイズ統計によるメタ解析では、31件のランダム化比較試験、のべ741人分のデータがまとめられています4。健康な成人の肌に2%から10%までの濃度のビタミンCを週5日・7週間塗り、途中で日光を模した紫外線を当てて、色素沈着の出方をプラセボと比べたものです。

結果は、濃度が高いほど色素沈着が抑えられるというものでした。10%がもっとも強く、2%では弱い効果にとどまっています4

2023年の系統的レビューでも、7件の試験・のべ139人のデータから、塗った側の肌は滑らかに見え、色ムラが明るくなったと報告されています。ただし著者は「はっきりした変化には長期の使用が要る」とも書いています5

どちらの報告も、紫外線を当てたうえでビタミンCを塗った肌を見ています。朝に使うと不利になる、という結果は出てきません。むしろ紫外線を浴びる時間帯に肌に置いておく理屈のほうが立ちます。

ただし、これは「塗れば日焼けを防げる」という意味ではありません。次の節で分けて考えます。

それでも、日焼け止めの代わりにはならない

役割が違うからです。日焼け止めは、紫外線が肌に届く前にその量を減らします。ビタミンCが関わるのは、届いてしまった紫外線によって肌の中で起きる反応のほうです。

環境省の資料でも、紫外線対策は強い時間帯を避ける、日陰に入る、日傘や帽子、衣服、サングラス、そのうえで日焼け止めを上手に使う、という順で並んでいます6。同じ資料は「日焼け止めを塗っていれば長時間浴びても大丈夫」を誤りとしています6。ビタミンCを足したから日焼け止めを省ける、という関係ではありません。

朝のスキンケアでは日焼け止めが紫外線を減らし、ビタミンCは届いた紫外線で肌に起きる反応の側を抑える
図2: 防ぐ層と、減らす側。役割が違うので朝は両方を置く。出典146

朝の順番はシンプルです。洗顔と保湿を済ませ、水っぽい美容液としてビタミンCを置き、いちばん最後に日焼け止めを重ねます。

秋に入ったから省いていい、という時期でもありません。環境省の資料では、1年間に浴びる紫外線のおよそ70〜80%が4月から9月に集中しています6。9月はまだそのなかにいます。時間がない朝にどちらかを削るなら、削らないほうは日焼け止めです。

気をつけるのは、この2つ

濃度と刺激

先のメタ解析では10%までの濃度が使われ、忍容性は良好だったと報告されています4。ただ、効きを求めて最初から高い濃度に手を出すと、ヒリつきや赤みが出ることがあります。

始めるなら低めの濃度から、隔日で数日ようすを見ます。ピリつくようなら量を減らすか、いったん夜に回します。目のまわりや小鼻のわきは薄くしみやすいので、最初は避けて広い面から慣らすほうが失敗が少なくなります。

開けたあとの保管

日本化粧品工業会は、直射日光の当たる場所、高温多湿の場所、温度変化の激しい場所を避けて常温で保管するよう案内しています7。キャップを閉めていても、使っているうちに中身は少しずつ空気に触れるため、開封後はできるだけ早めに使い切るように、とも書かれています7

洗面台の窓ぎわに出しっぱなしにしない。日の当たらない棚に移すだけで守れる部分があります。遮光された容器や、小分けになった包装が使われている製品が多いのも、この性質があるためです。

よくある勘違い

「濃いほど早く効く」

濃度が高いほど強い、という関係は10%までの範囲で報告されたものです4。その先まで上げれば比例して効く、という結果ではありません。刺激のほうは濃度とともに上がります。

「2週間使って変わらないから、合っていない」

肌に合わないサインは数日で出ますが、色ムラやキメの変化は週の単位でしか見えてきません。系統的レビューも、はっきりした変化には長期の使用が要ると結論しています5。判断を急がないほうが、結果的に無駄が減ります。

まとめ

  • 光毒性を起こすのはフラノクマリンなどの成分で、アスコルビン酸がその原因として挙がる資料は見あたりません123
  • 31件の試験をまとめた解析では、ビタミンCは紫外線による色素沈着を濃度依存に抑えたと報告されています4
  • 朝に使うなら、いちばん最後に日焼け止めを重ねる。役割が違うので置き換えはできません6
  • 低めの濃度から隔日で始め、ヒリつくなら夜に回す
  • 直射日光と高温多湿を避けて置き、開封後は早めに使い切る7

出典

記号は根拠の強さです。S = 系統的レビュー・公的機関の一次資料、A = ランダム化比較試験、B = 査読付きの総説・観察研究

  1. 2BPhytophotodermatitisDermNet(皮膚科医 Dr Ian Coulson による解説/2021年改訂)・2021
  2. 3SOpinion on Furocoumarins in Cosmetic Products(SCCP/0942/05/2005年12月13日採択)欧州委員会 消費者製品科学委員会(SCCP)・2005
  • ビタミンC
  • 紫外線
  • 日焼け止め
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