冬、すねがかゆいのはなぜ?体、洗いすぎていませんか
冬にすねや背中がかゆくなるのは、空気の乾燥に、洗いすぎとこすり洗いが重なるためです。ナイロンタオルや石けんの使い方、お風呂上がりの保湿の量と回数を、日本皮膚科学会の手引きとガイドラインから整理します。

お風呂から上がってしばらくすると、すねや背中がむずむずしてくる。よく見ると、白く粉をふいたようになっている。冬のかゆみは空気の乾燥のせいだと思われがちですが、毎日の体の洗い方が乾燥を強めていることがあります。
この記事では、冬に体がかゆくなる理由と、洗い方・保湿の見直し方を、日本皮膚科学会の診療の手引きとガイドラインをもとに整理します。
先に結論
- 冬に乾いてかゆくなりやすいのは、皮脂の少ないすね・背中・腕。空気の乾燥に、洗いすぎとこすり洗いが重なる1
- ナイロンタオルはやめて、よく泡立てた泡を手のひらにとって洗う1
- 石けんはわき・陰部など汚れやすい場所に絞る。乾きやすい場所は少なめでいい123
- 拭いたら、すねと背中に保湿する。量は少しテカる程度、できれば1日2回1
冬にかゆくなるのは、皮脂の少ないすねや背中
日本皮膚科学会の「皮脂欠乏症診療の手引き2021」は、肌が乾く原因のひとつに、冬の外気の乾燥や暖房による低い湿度を挙げています1。皮脂欠乏症とは、皮脂や水分が減って肌が乾いた状態のことで、乾皮症とも呼ばれます。
同じ手引きは、過度の入浴、脱脂作用の強い洗浄料、こすり洗いも原因に並べています1。脱脂作用とは、肌の油分を落とす力のことです。冬は乾いた空気に、体の洗い方が上乗せされるわけです。
乾きやすい場所も決まっています。いちばん出やすいのは両すねで、背中や腕にも出ます1。反対に、皮脂や汗の多い顔やわきなどでは起こりにくいとされています1。

乾いた肌はかゆみを伴いやすく、掻くと肌のバリアがさらに壊れます1。掻くことをくり返すと炎症が起き、湿疹になることもあります1。かゆくなる前に乾燥を減らしておくのが、いちばんの近道です。
洗うときは、こすらず、石けんを絞る
ナイロンタオルをやめて、泡を手のひらで
手引きは、ナイロンタオルやブラシでこすると肌から水分が逃げやすくなり、乾燥を強めるとしています1。そのうえで、石けんやボディソープをよく泡立て、泡を手のひらにとってやさしく洗うよう勧めています1。アトピー性皮膚炎のガイドラインも、硬い素材でこすると肌のバリアの働きが落ちるとしています2。
小さな試験ですが、こんな報告もあります。6人の片腕だけを、石けんとナイロンタオルで1日2回、2週間洗いました4。石けんだけで洗ったもう片方の腕と比べると、水分が逃げる量が増え、肌のうるおいを抱える成分(天然保湿因子)が減っていました4。
石けんは、わき・陰部など汚れやすい場所に
石けんやボディソープの主な成分は、界面活性剤(油と水をなじませて汚れを浮かせる成分)です。手引きは、使いすぎやすすぎ残しが乾燥を悪化させる可能性があるとしています1。
皮脂は、ぬるめのお湯でもある程度落ちるとされています2。そのためガイドラインは、乾燥が強い場所や季節には石けんを最小限にとどめ、脂っぽい場所には積極的に使うよう勧めています2。米国皮膚科学会も、洗浄料はわきや陰部など必要な場所だけに使うようすすめています3。

洗浄料を選ぶときは、洗ったあとにつっぱりにくいもの、香料や色素などが少ないものを目安にします2。泡はすすぎ残さないよう、最後によく流します12。
拭いたら、すねと背中に「少しテカる」量を
洗い方を変えても、冬の乾いた空気は残ります。お風呂上がりは角層(肌のいちばん外側の薄い層)から水分が逃げていくので、保湿剤を塗るよう手引きは勧めています1。
ただし、急がなくて大丈夫です。入浴の1分後と1時間後に塗り比べた試験では、肌の水分量に差がありませんでした1。髪を乾かしたあとでも間に合います。
量の目安は、チューブから人さし指の先から第1関節まで出した量(約0.5g)で、手のひら2枚分の広さです1。ローションなら、1円玉大で約0.6gです1。手引きの概算では、片脚にこの6回分、背中に7回分、片腕に3回分が適量とされています1。
量るのが面倒なら、塗ったあと少しテカテカする程度を目安にします1。回数は、1日1回より2回のほうが高い保湿効果を期待できるとされています1。

続けると、乾燥は少しずつ減っていきます。介護施設で暮らす65歳以上の133人を対象にした試験では、体用の洗浄料と1日2回の保湿を8週間続けたグループで、肌の乾燥が対照群より減りました5。この試験でも、腕や体幹より脚のほうが乾いていました5。
複数の研究を集めて評価した系統的レビュー(50歳以上が対象)では、油分と保水成分を含む保湿剤で、乾燥とかゆみが減っていました6。高齢の人での結果が中心ですが、手引きの勧めと同じ方向です。
保湿剤の種類は、どれが優れているかを示す証拠がありません1。使い心地がよく、続けられるものを選ぶのがいちばんです1。米国皮膚科学会は、ローションよりクリームや軟膏のほうが潤いを足しやすいとしています3。すねの粉ふきが目立つなら、クリームや軟膏に替えるのも手です。
かゆいときと、皮膚科へ行く目安
かゆくても、なるべく掻かないようにします。掻かずにいることが、かゆみをそれ以上強めないことにつながります7。
服の刺激も見直します。手引きは、羊毛やごわごわした素材の服、髪の毛先が触れるだけでもかゆくなることがあるとして、刺激の少ない服を勧めています1。米国皮膚科学会は、綿のゆったりした服を選び、ウールを直接肌に当てないよう勧めています3。
暖房で部屋が乾くときは、加湿もあわせて考えます1。部屋の湿度の目安は「加湿器で肌の乾燥は防げる?冬、部屋の湿度の目安」で紹介しています。
次のようなときは、皮膚科で相談してください。
手引きでも、掻き壊しや目立つ粉ふきがあれば医療用の保湿剤を、湿疹になれば炎症を抑える薬を使う治療を考えるとしています1。
よくある勘違い
「こすらないと、汚れが落ちない」
手引きとガイドラインが勧めているのは、よく泡立てて、手でやさしく洗う方法です12。皮脂は、ぬるめのお湯でもある程度落ちるとされています2。
硬いタオルでこすったあとの肌を測った実験もあります。お湯に5分浸けた腕を硬いタオルでこすると、肌が水分を抱える力が6時間ほど下がり、水分が逃げる量は2日目に最も多くなりました8。10人の小さな実験ですが、こすった直後はさっぱりしても、乾きやすい状態が数日続く可能性があります。
長年ナイロンタオルや硬いスポンジでこすり続けた人に、骨の出っ張った場所の茶色い色素沈着が出た例も報告されています9。
「かゆいところに熱いお湯をかけると、すっきりする」
熱いお湯は、そのときは気持ちよく感じます。ただ、ガイドラインは、42℃以上のお湯は皮脂やうるおい成分を溶かし出し、かゆみを起こすため勧められないとしています2。
お湯の温度は38〜40℃が目安です2。湯温の決め方は「秋のお風呂、何℃で入っていますか?湯上がりのつっぱりが変わる温度」で紹介しています。
まとめ
出典
記号は根拠の強さです。S = 系統的レビュー・公的機関の一次資料、A = ランダム化比較試験、B = 査読付きの総説・観察研究。
- 4BDecrease of superficial serine and lactate in the stratum corneum due to repetitive frictional traumaInt J Dermatol(PMID 29243811)・2018
- 7S10 reasons your skin itches uncontrollably and how to get reliefAmerican Academy of Dermatology・2024
- 8BBiophysical changes after mechanical injury of the stratum corneum in normal skinContact Dermatitis(PMID 11918583)・2002
- 9BFriction melanosis, friction amyloidosis, macular amyloidosis, towel melanosis: many names for the same clinical entityEur J Dermatol(PMID 11701405)・2001
- 乾燥
- 保湿
- 冬
- 入浴
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